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研究

基礎研究

心肺停止状態における血管収縮物質の動態と新たな血管収縮薬投与法の確立

心肺停止(CardioPulminary Arrest、以下CPA)状態に対する血管収縮薬に関しては、現在アドレナリン投与が提案されているのみで、アドレナリンについてもその有効性や予後に与える影響に関して議論のあるところである。近年、ショック状態に関するレニン-アンギオテンシン-アルドステロン(以下、RAA)系の検討がなされ、アンギオテンシンⅡがショック状態の患者の血圧を改善させることが報告されている。
本研究では、CPAモデルラットを用いて、血中カテコラミン、バゾプレシンおよびRAA系の動態を調査するとともに、CPAに対するアンギオテンシンⅡ投与の有効性を検討することにより、心肺蘇生(CardioPulminary Resuscitation、以下CPR)における新たな血管収縮薬投与法の確立を目指すことを目的とする。


間葉系幹細胞を用いた新規重症熱傷治療法の開発

現在、重症熱傷の治療法は早期のデブリドマン及び皮膚移植と、感染や炎症に対する集中治療管理が中心となっている。局所の熱傷に対する自家・培養表皮移植が確立されつつある一方で、全身の侵襲後免疫不全や炎症反応に対してブレークスルーとなるような治療法は未だに開発されていない。
間葉系幹細胞は、多分化能と抗炎症作用を保持していることから、間葉系幹細胞の投与により、重症熱傷患者の局所の皮膚熱傷の再生だけでなく、全身の炎症反応や免疫機構の制御ができるようになり、救命率を向上させることが期待できる。
本研究では、熱傷モデルマウスに対して、間葉系幹細胞を投与することにより、重症熱傷に対する新たな治療法を開発することを目的とする。

臨床研究

血液凝固系検査の救急疾患に対しての応用

外傷患者における外傷早期からの血液凝固異常は今日の外傷診療のTopicの一つである。当教室では血液凝固系検査のうち線溶系酵素であるFDP(Fibrin Degradation Products)とD-dimerに着目し、上昇したFDPとD-dimerが外傷の重症度と相関することを世界に先駆けて発表してきた (J Trauma Acute Care Surg. 2013;74:1275-8). 以降、血液凝固系検査による外傷における重症度や治療に関する予測診断モデルを作成している。更には外傷以外にも心肺停止患者における自己心肺再開モデル等、血液凝固系検査を様々な急性期病態へと応用している。


血液凝固検査装置Sonoclotを用いた研究

2016年より血液凝固系検査測定装置Sonoclotを用い、凝固線溶システムが急性期病態にどう反映しているかをよりDynamicに検討すべく前向き観察研究を行っている。


高齢者患者についての臨床研究

先進国の中でも取り分け高齢化の進んだ日本において高齢者患者についての研究を行うことは、高齢者患者についての研究の先駆けとなると考えられる。当教室では高齢者患者についての各種臨床研究を行っており、そのテーマは医療政策についての問題、生命倫理についての問題(Intern Med. 2018;57:1989-1993.)等各種トピックに亘っている。


学会主導BigDataを用いた臨床研究

1. JAAM多施設共同院外心停止レジストリ

日本救急医学会主導で行われている心肺停止患者についての他施設前向き観察研究であり、心停止症例の蘇生に関するデータを収集し、客観的な検証を行うことにより心停止症例の救命率を向上させることを目的としている。

2. SOS-KANTO 2017

日本救急医学会関東地方会主導で行われている心肺停止患者についての多施設前向き観察研究であり、本邦における安全で質の高い救急医療の構築、心肺停止患者の救命と社会復帰率の向上を目的としている。


めまい患者における脳血管障害診断マーカーの探索

めまいは救急外来を受診、搬送される患者において、最も多い主訴の一つである。めまいは主に良性発作性頭位めまい症や前庭神経炎などの末梢性めまいと、小脳・脳幹の梗塞や出血などの中枢性めまいに大別されるが、中枢性めまいのうち、脳血管障害を原因とするめまいは致死的となりうることがあり、救急領域においては重要な鑑別疾患である。
しかしながら、めまいの鑑別診断を通常の身体診察や臨床検査のみで行うことは非常に難しく、有効な診断には画像診断の施行が不可欠であるが、めまい患者に画像診断を施行すべき指標検査項目は現在までに明らかにされていない。
本研究では、中枢性めまいの診断に繋がるマーカーを探索することを目的に、前向き観察研究を行っている。